日本でインフレが起きた場合の影響を考える

こんにちはアウディです。突然ですが、私は日本財政破綻論者です。 ここでの “財政破綻” とは、広い意味で考えています。 すなわち必ずしも、日本政府が予算を組めなくなって年金が支払えなくなるというようなことだけではなく、 金融抑圧からの大幅なインフレ・円安、社会保障支出の大幅カット、今まで考えられなかったような増税などのシナリオも含みます。

今後日本で起きうるシナリオとしては、下記の本が非常に参考になります。 著者によると、今後数年以内に70%の確率で財政破綻を迎え、30%の確率で金融抑圧による長期不況に陥ると予想されています。 (ちなみにこの本は、データをもとにしてちゃんと議論を展開していく良書です。Amazonレビューでの評価も高くおすすめです。)

財政破産からAI産業革命へ 日本経済、これから10年のビッグ・シフト

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金融抑圧とインフレの可能性

金融抑圧とは、政府が人為的に名目金利を下げることにより、実質金利をマイナスにすることをいいます。 金融抑圧が行われると、政府の借金の利率がインフレ率以下になるので、実質的に借金が目減りしていきます。

これは仮想的なシナリオではなく、既に日銀・日本政府が始めていることです。 2016年の9月、日銀は長期金利をターゲットにした金融緩和政策を開始しました。 インフレ率が上昇しても、ターゲットとなる金利を上げなければ、金融抑圧となります。

歴史上、金融抑圧が行われた例としては第二次大戦後のイギリスが有名です。 この過程の中で、イギリスのポンドは大きく下落しました。

ここからが本題ですが、今後10年程度の時間をかけて、日本円の価値が1/2~1/5程度に下落するとして、どのような影響があるか考察してみましょう。

インフレと税金

税金は、名目の金額に対してかかります。 これはとても重要なことなのですがあまり認識されていないかもしれません。

インフレは財産への課税をもたらす

例えば今、貯金が100万円を、「日本円はヤバイかな~」 と思ってドルに替えておいたとします。 (簡単のため、1ドル=100円で1万ドルに交換したものとします。) 仮に10年後、日本円の価値が1/2になったとすると、1ドル=200円となりまう。 ここで、「ドルにしておいてよかった! 円に交換して使おう!」 と思って両替すると200万円を得ます。 この時、実質的には何も得をしていないのですが、名目上、100万円の利益がでたので課税されてしまいます。税率を20%とすると、20万円の税金を支払うことになります。 トータルすると、実質10%の税金を支払うことになってしまいました。

この例では、ドルを買ってインフレに備えたのですが、不動産や株式を購入してインフレに備えた場合でも同様のことが起きます。 つまし、インフレが起きると実質的に資産に課税される (財産税) ことが分かります。

インフレは実質所得税率を上げる

サラリーマンもインフレの影響を受けます。

仮にあなたが年収1000万円のサラリーマンだったとします。この場合、手取りは750万円くらいでしょうか? ここで2倍のインフレになったとしましょう。競争力のある企業なら、インフレになるとそれに応じて社員の給料を上げることが出来ます。 インフレの分、2000万円に給料があがることも十分にありえます。

しかし問題は、年収2000万円は非常に所得税率が高いのです。年収2000万円の手取りはおよそ1300万円程度です。 インフレ前の貨幣価値で考えると、手取りが750万円から650万円に減少してしまったことになります。

インフレに伴って、所得税の累進課税の年収もスライドしていくとこのような事にはならないのですが、 財政難のもとでの減税は難しいでしょう。

インフレは課税対象者を増やす

相続税には、 3000万円 + 600万円×[法定相続人の数] という基礎控除が設定されています。 相続する財産の評価額がこの基礎控除よりも少なければ、相続税を支払う必要はありません。

しかし、インフレが起きると、この基礎控除が実質的に小さくなります。 いままで相続税の対象とならなかったような、あまりお金持ちでない方が亡くなった場合でも、相続税を払うことになります。

贈与税や雑所得等に関しても、同様に課税対象となる閾値が下がるので、課税対象者が増えることになります。